二段階紆余曲折

小並感満載で日常的なことを。

悲してくてやりきれない「この世界の片隅に」と言う映画を観てきました

悲しくてやりきれないと言えば、個人的には奥田民生です。

 

konosekai.jp

 

二子玉川の109シネマズで「コウノトリ大作戦」とダブルヘッダーで「この世界の片隅で」を観てきました。映画館に行こうとはあんまり思わない性格なので、映画館に行くのは奥さんセレクトの作品を前提知識が無いままにと言うのが基本です。この世界の片隅については芸能界で干され気味な能年ちゃんこと「のん」が声優をやっているということくらいの知識レベルでした。

 


映画『この世界の片隅に』予告編

 

舞台としては戦前から終戦までの広島のお話。広島市内で生まれ育った浦野すずはおっとりなドジっ子で絵がうまい。家業のお遣いで出た街で将来の夫となる北条周作と出会い、広島県の呉市に嫁に行くことになった。呉市は瀬戸内海に面しているため、軍港や造船の街として栄えていたため、大戦中は度重なる空襲に曝されている。かの戦艦大和もここ呉市で製造されたらしい。北条家は山の上の方にあったため、この軍港にとまる戦艦、巡洋艦、駆逐艦などが見えている。そんな場所で戦時中に大切な人を失ったり、大切なものを失ったりしながらただ耐え忍んでいたところに、広島市内に原爆が投下され終戦をむかえる。

 

映像としていいなぁと思ったのは、すずが絵が得意であることを活かした表現ですかね。最初の方に海の波がうさぎのように見えると言うことからの表現とか、空襲にあった時の空での爆発が水彩画の絵の具を垂らしたような表現とか、そういう表現の美しさには感心しました。

 

時代的には今よりも絶望的な時代だったはずです。恋愛して結婚するわけでもなく、すず目線で言えばある日突然訪ねてきた人のところに嫁に行って暮らすわけですからね。そして、まわりもさも当然のごとく受け入れるのですから。周作目線で言えば幼少の頃に出会った人で探し出したわけですからそれはそれでロマンチックなんですけど。

 

別に実話と言う事ではなくて、この世界の片隅にと言うのは、その時代、その当時のその場所に、特に目立つこともなく生きていた人物の、辛くはあるけれども生きた証と言うか、そんなようなものなのだと思います。片隅とは、歴史に名を残したり功績が認められたと言うことではなく、目立つことは無かったけれども「一緒に居た人たちの中には間違いなく存在してた」と言う、そんなような事なんだろうなと思います。

 

大変おもしろかったです(小並感)。太平洋戦争前後が舞台と言うこともあって、あまり物語の前提知識を必要としない作品だと思います。多くの人は学校で習う事でしょうから、時代背景を補完しながら見ることが出来ます。その反面、戦争が絡んだ他の火垂るの墓とかはだしのゲンの様なエグみ、グロさ、胸糞悪さが無いのもスーッと入れる理由なのだと思いますし、そう仕上げられたことが素晴らしいと思います。奥さんは原作の漫画を読んだことがあるらしく、端折られた箇所とかの話もしてくれたので、原作漫画も読んでみたいなぁと思う次第であります(→ 読みました)。

 

この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック

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「この世界の片隅に」公式アートブック

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